鞣しとは?タンニン鞣しとクロム鞣しの違いについて

鞣し……?

革製品を購入する際によく見かけるキーワード『鞣し』。

「鞣しとか言われても、革職人じゃないから意味が分からない」と思ったので、調べました。

その結果をお伝えします。

『皮』は鞣すことで『革』になる

皮とは、加工される前の動物の皮のことを指します。

皮は生ものです。

動物の死骸の一部なので、放っておけば腐ってしまいます。

では、腐らないように乾燥させればいい……とはいきません。

カチコチに固まってしまい、製品化が困難になってしまいます。

そこで、柔軟性をもたせつつ、防腐処理を施す加工方法が『鞣し』になります。

古来から、皮を柔らかくするために、物理的に衝撃を加えたり、特殊な成分を用いたりと、さまざまな手法が用いられてきましたが、現在は、コスト・機能性の問題で「鞣し剤」を使用するのが一般的なようですね。

タンニン鞣しとクロム鞣しという鞣し方が現代では一般的。

『皮』は、「鞣し」を経て、『革』へと変化し、製品化することができるようになるというわけです。

タンニン鞣しとクロム鞣しの特徴・違い

タンニン鞣し

植物に含まれる「タンニン」という成分を抽出して使う、伝統的な鞣し方。

タンニン成分が、皮のコラーゲン成分と結合することで、組織が安定し、柔軟性のある革になります。

タンニンは、私たちの生活の中でなじみのあるもので言うと渋柿に含まれています。

また、ワインなどに含まれているポリフェノールもタンニンですね。

防腐・防虫作用があるので、皮の防腐加工に適しているというわけです。

タンニン鞣しは、形を保つ性質・年月を経て変化する性質の2つが特徴ですよ。

クロム鞣し

クロム化合物を鞣し剤として活用する方法で、19世紀中頃に開発された比較的新しい鞣し方。

世界に流通する革製品の約8割がこの手法によって鞣されているようです。

「ドラム鞣し」と言われる、大きな回転体に皮と鞣し剤を入れて、一気に鞣す方法を用いることにより、数時間から1日程度で大量の皮を鞣すことができ、効率よく革を大量生産することが可能。

このことから、リーズナブルに生産できるので、流通量が多く、入手難易度は低め。

クロム鞣しは、弾力性・耐熱性が高いことと、伸縮性があることが特徴ですよ。

鞣しから考える革製品の選び方

長期間使いこみたい物はタンニン鞣しがおすすめ

長期間使いこみたい製品は、タンニン鞣しがおすすめです。

なぜなら、使い込みによる変化を楽しむことができるからです。

タンニン鞣しによって生成された革製品は、変形させるとその形を保つ性質があります。

そのため、持ち主の体や収納物に合わせて、ピタリとはまる形へと変形していくので、使い心地が抜群になるかと。

また、年月が経つにつれ、タンニンが茶褐色に変化していき、独特の色合いに変化していきます。

この変化を好んでいる人が多く、一般的かどうかは分かりませんが、俗に言う「革は使い込むと味が出る」とは、この変化のことを指しているのかと思われます。

使いやすい形に変化していくことと、独特の色合いに変化していくことの2点があるため、使い込みによる革の変化を楽しみたい方は、タンニン鞣しで作られた革製品がおすすめです。

普段使いしたい物はクロム鞣しがおすすめ

普段使いしたい物は、クロム鞣しで作られた革製品がおすすめです。

なぜなら、クロム鞣し製の革製品は、しなやかで軽く、伸縮性があるからです。

そのため、普段身に着けていても動きやすい。

また、弾性・耐熱性もあるため、キズや変形に強く、衣類のように普段使いし、キズが付きやすい状態にさらされる機会が多いようなものに適しているというわけです。

衣類や、スポーツ用品など衝撃や摩擦に晒される機会が多い普段使いする製品は、クロム鞣し製の革製品がおすすめです。

タンニン鞣しのおすすめ製品

PORTER レザーウォレット 187-01346

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老舗メーカー「吉田カバン」のオリジナルブランド『PORTER』(ポーター)の長財布です。

タンニン鞣しで仕上げた革に、ガラス加工(鞣し後の乾燥工程をガラス盤に貼り付けて行う加工方法)を施した後、表面をやすりで削って、濃淡のある表情に仕上げた逸品。

オイルをしっかりと含んでいるため、使い込むほどに手になじんでいきます。

財布は長期間使い込むことができる小物なので、使い込むほどに味が出るタンニン鞣しと相性が良いかと。

愛着をもって使い込めるのでおすすめです。

Vita Natur メンズ本革ベルト

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Vita Natur(ヴィタ・ナトゥール)のメンズ本革ベルトです。

革部分の素材構成は牛革。

表面は、やすりがけして短く起毛させたヌバックレザー。

裏面は、植物性のタンニンで鞣したヌメ革となっています。

金属部分は、アレルギーを防ぐためニッケルフリーメッキを使用。

表面・裏面・金属部分と構成部分が全て手間がかかる加工にもかかわらず、値段もお手頃。

商品企画・工場への発注・輸入を全て自社で行い中間マージンを削っているから実現できているようです。

高品質・お手頃価格なので、おすすめの逸品ですよ。

クロム鞣しのおすすめ製品

Master-piece 二つ折り財布 ステアレザー

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Master-piece(マスターピース)のステアレザー製2つ折り財布がおすすめです。

ステアレザーとは、生後3~6カ月程度で去勢され、生後2年以上が経過した雄牛の皮を加工したもの。

去勢されていない雄牛よりも革質が柔らかいことが特徴ですね。

表面はクロム鞣しで生成した革で構成し、裏面……つまり財布の内部はヌメ革で構成されています。

キズが付きやすく、衝撃に晒されやすい表面は頑丈なクロム鞣しで、衝撃に晒されにくい内部は、使い込むほどに味が出るヌメ革を使用している細やかな作り込みは素晴らしいかと。

機能性が充実していておすすめですよ。

まとめ

『鞣し』についてまとめてみました。

鞣しは、革製品の購入の際に疑問に思っていたことの一つだったのですが、調べてみると奥が深い。

購入の際に、気にして見るのも面白いかもしれません。

参考書籍

革の辞典

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革のリペア&メンテナンス

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